2020年5月に成立した「年金改正法」は、2022年4月に施行されます。
被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給のあり方など
適切に対応すべき内容が多く含まれています。
今回は、年金制度の改正の主旨、内容について紹介します。
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なぜ年金制度の改正が必要なのか
社会保障費が年々上昇し、生活に直結している医療保険、年金の財源確保。
医療保険や年金の財源確保が喫緊の課題になっています。
2019年度の予算ベースにおける財源額と支出額は?
収入が約52兆円、支出が約55兆円。約▲3兆円の赤字です。
対策は、収入を増やす、支出を減らすのどちらかです。
将来を考えると、保険料の担い手は現役世代です。
現役世代が減少しているため、収入は減ることがあっても
増えることはありません。
結果、過去に積み立ててきた資産から補填を続けています。
資産の補填はいつまで続けられるのか?
日本の人口は、2010年をピークに減少傾向にあります。
総人口、現役世代ともに減少、65歳以上の人が増加。
結果、年金の財源が減少し、支出が増える状況になっています。
厚生労働省は、年金に関する試算を繰り返し、
持続可能な制度設計を、繰り返し設計し続けています。
今回の改正についても、長期化する高齢期の経済基盤の
充実を図ることを目的に掲げています。
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年金制度の改正内容
2022年4月以降の改正には、4つあります。
被用者保険(厚生年金保険・健康保険等)の適用拡大
被用者保険とは、一般的に社会保険と呼んでいる、
厚生年金保険や健康保険を指します。
今回の改正は、厚生年金保険や健康保険の加入者を増やすことが趣旨の1つです。
一般企業に関係するのは、短時間労働者を適用対象とすべき事業所の規模を、
段階的に引き下げるという点です。
社会保険の被保険者の要件 | ||||
対象 | 要件 | 2016年10月〜 | 2022年10月〜 | 2024年10月〜 |
事業所 | 事業所の規模 | 常時500人超 | 常時100人超 | 常時50人超 |
短時間労働者 | 労働時間 | 週の所定労働時間20時間以上 | 変更なし | 変更なし |
賃金 | 月額88,000円以上 | 変更なし | 変更なし | |
勤務期間 | 継続して1年以上使用される見込み | 継続して2ヶ月を超えて使用される見込み | 継続して2ヶ月を超えて使用される見込み | |
適用除外 | 学生でないこと | 変更なし | 変更なし |
在職中の年金受給のあり方の見直し
年金受給のあり方とは、
厚生年金保険において、在職定時改定の導入や在職老齢年金の見直しのことです。
在職定時改定の導入
在職定時改定の導入とは、65歳以上の在職中の人については、年金額の改定を
毎年1回定時(10月分から)に行うというものです。
改正前は、退職時及び、70歳到達時にのみ、年金額の改定があったため、
在職中に年金をもらうとしても、すぐに、年金額が増額しないという
問題がありました。
今回の改正で、1年毎に年金額を反映させることにより、年金を受給しながら
働く人の経済基盤の充実が図られるとこになります。
在職老齢年金の見直し
在職老齢年金の見直しとは、60歳から65歳未満の在職中に
支給される特別支給の老齢厚生年金について、支給停止とならない範囲を
拡大するということです。
支給停止基準を、28万円から47万円に引き上げました。
在職中に、厚生年金保険を受給しようとすると、基準額の28万円で
あることにより、支給停止にかからないように、短い時間だけ
働こうとする高齢者が少なからず存在していたからです。
基準額が47万円に引き上げられることにより、支給停止を考えることなく
働きながら年金をもらう人が増える可能性が高くなります。
受給開始時期の選択肢の拡大
現行は、公的年金の受給開始時期を60歳から70歳の間で自由に
選ぶことができます。
60歳から64歳までに受給した場合、年金月額は減額(最大30%減)
65歳より後に受給した場合、年金月額は増額(最大42%増)されます。
改正後は、公的年金の受給開始時期を60歳から75歳の間で自由に
選ぶことができるように拡大しました。
60歳から64歳までに受給した場合、年金月額は減額率が減少されます。
繰上げ減額率
現行:0.5✖️繰上げた月数
改正後:0.4✖️繰上げた月数
(2022年4月1日以降、60歳に到達する人を対象として改正予定)
75歳より後に受給した場合、年金月額は増額(最大84%増)されます。
確定拠出年金の加入可能要件の見直し
確定拠出年金及び確定給付企業年金についても改正が行われます。
確定拠出年金及び確定給付企業年金とは3階建ての年金とも言われています。
加入できる年齢の延長で、国民年金被保険者であることを前提に
65歳まで加入(掛け金の積立)期間が延長されます。
これは、加入者の利益に大きく貢献する変更で、今回の改正の目玉です。
国民年金被保険者は、基本的に、20歳以上60歳未満の日本人はすべて、
国民年金に加入している「国民年金被保険者」となります。
60歳以上の方についても、公務員や、
民間企業に勤めサラリーマンとして働く人たちの多くは厚生年金に入っています。
厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれていますので、
自動的に「国民年金被保険者」でもあることになります。
今回の法改正は60歳以上の方でも、
サラリーマンとして働き続ける場合は、
iDeCoに加入し、掛金を積み立てができます。
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まとめ
今回は、年金制度の改正について紹介しました。
- 年金改正の必要性について
- 年季制度改正について
いずれにしても、働き続けることが大切です。
個人が任意加入する私的年金を使って年金を増やす、という方法にも変化があります。
iDeCoは、これまで加入できる年齢が60歳未満だったのが、65歳未満に引き上げられます。
老後資金が足りないという人は、仕事を続けながら、厚生年金に加入して、かつiDeCoにも加入すれば、もらえる年金の倍増も夢ではありません。
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